皆さんこんにちは。インテリアコーディネーター&窓装飾プランナーのあまんだ・ら・かまんだらです。
この夏、びっくりカーテンのある大阪では、『EXPO2025 大阪・関西万博』が開催中。
私も我万博好きの家族の影響で、雨風の開幕日に行ったのち通期パスを購入。
せっせと週末は会場に足を運んでいます。
↑大屋根リングの中でブルーインパルスの演技を見て感動!
ところで、大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。
その中でも、持続可能性の実現を目指すため、脱炭素・資源循環という点で「ファブリック(繊維)」は重要なファクタの一つです。
近年は特に、サステナブルな循環型社会の実現を目指した商品が増えてきました。
当店でもリサイクルデニムを使ったラグや、再生繊維をつかったカーテンやロールスクリーンなどを沢山取り扱っています。
現代の繊維産業は環境負荷が高いと言われていますが、昔は日本でも浴衣をおむつにしたり、古い着物を裂いて糸にしたもので織り直したりたように、繊維は本来、リサイクルやアップサイクルされることの方が多かった素材。
実際に、この万博で海外パビリオンを回ってみると、あちこちでその国独自の「ファブリック」が展示されていることに気づきました。
世界中で改めてファブリックや織物が注目されているのです。
ということで数回に分けて、『EXPO2025 大阪・関西万博』の世界各国のパビリオンで見つけた様々な「ファブリック(繊維)」をご紹介します!
目次
「東アジア・東南アジア」のファブリック
実際に行ったパビリオンの中から、ファブリックを紹介していた国をピックアップ。
まずは、日本も含むアジアから…といっても広い、中東、東南アジア、オセアニア…
では、レッツゴー♪
関西パビリオン(徳島県・日本)で見つけたファブリック
関西パビリオン内の徳島県のブースでは、吉野川流域では「阿波藍」として有名な藍染めの展示がされていました。
来場者による藍染体験も行われていて、私も後日再訪してチャレンジしてみました。
染める藍の液は生きているので“若い”と色が薄く、熟成するにつれ濃くなり、元気がなくなったり“老いる”とまた薄くなっていくそうです。
インディゴ=藍と一言で言っても、実はいろいろな種類(原料)があります。
例えば、日本での藍染めは、まずタデ藍と呼ばれる植物の葉を細かく刻んで乾燥させ、それをさらに100日程かけて発酵・熟成させ、できた「蒅(すくも)」が主原料となります。

スタッフの方からは「地元の工房では『綺麗な藍色に染め上がるように』との願いを込めて、上の写真の様に山になった蒅(すくも)に蓼の葉を差しておくんです」と教えていただきました。
良い「蒅(すくも)」ができるかどうかは、天候や気温といった環境だけでく、職人の腕の違いも大いに関係するそうです。
最後は神様にもお願いしちゃうところが日本らしくていいな、と思いました。
カンボジア館で見つけたファブリック
下の画像の織物は、カンボジアの伝統的なスカーフ「クロマー」。

カラフルな色彩や緻密な模様が特徴ですが、こちらもそれぞれ意味や象徴が込められているそうです。
写真の柄は鳥や花だと思うのですが、聞きそびれました。繊細なデザインで素敵ですね。
生活に身近な「織物に願いを込める」のは万国共通なんですね。

【パビリオン情報】
小さいパビリオンですが、古代クメール文化の神像や世界遺産「コー・ケー遺跡群」のピラミッド型寺院プランの大きな模型がありました。
ジャスミン米(フェイクの稲穂)の田んぼの先にアンコールワットの模型がありカンボジアの雰囲気を堪能できます。

ラオス館で見つけたファブリック
私のイメージはラオスといえばお米。国土の7割は森林で、労働人口の約70%が農業に従事しているそうです。

シルクで有名なタイのお隣なので、ラオスも養蚕には適していて、シルクは主要な輸出品の一つ。


ブースでは日本のグッドデザイン賞を受賞したというシルクのスカーフやアップサイクルのバッグも展示されていました。
インドネシア館で見つけたファブリック
イカット(絣)や金糸・銀糸を贅沢に使ったものなど、伝統的なインドネシアの織物が沢山紹介されていました。


こちらも宗教的なこともあってか、幾何学模様や自然のモチーフが多かったです。
花やアヒルなどの動物が描かれているデザインは「調和」「家族の団結」「協調性」を表しているそうです。

【パビリオン情報】
インドネシアの熱帯雨林を再現した屋内庭園。滝まであってジャングル感満載。
コモドドラゴンやオランウータン、ジャワヒョウ、極楽鳥などの動物のアートも楽しい♪
インドネシアの魅力を紹介する360度没入型映像や伝統的な影絵のドキュメンタリー上映などもありました。

「南アジア」のファブリック
アジア大陸南部,インド半島を中心とした南アジア地域。
コットン(綿花)生産量が世界第2位のインドなどが含まれます。
バーラト(インド)館で見つけたファブリック
パビリオンの出口付近には、サリーなどの織物や敷物なども展示されていました。

当店でもインドからは生地やクッションカバーなど色々と輸入しているので、興味深く見ていたのですが説明も少なくて。
質問したいのに聞けそうなスタッフもおらず…あきらめてインド館を後にしました。

【パビリオン情報】
インド館の呼び名「バーラト」は、サンスクリット語で「インディア」を指す言葉で現地での伝統的な呼び名で日常的に使われるそうです。日本を「やまと」というのに近い感じ?
インド館は万博の開幕日から少し遅れてオープンしたのですが、その初日に訪れた時はまだ一部は準備中でしたが、先日再度訪れたところ奥には物産店ができていました。
商売上手なインド人の店員さんと値切り交渉されたい方はぜひ行ってみてください。
バングラデシュ館で見つけたファブリック
繊維業が盛んなバングラディッシュ。
綿も有名ですが、生産量世界第2位というジュート(黄麻/コーマ)が特産で、ロープをはじめ、カゴやバッグ、敷物やジャケットなどの衣類まで幅広く生活の中で使われているのが良くわかる展示でした。


また織物遺産として綿織物の最高峰ともいわれる、「モスリン」が展示されていました。

ダッカ(当時はインド、現バングラデシュの首都)のモスリン(ダカイ・モスリン)は古い歴史を持ち、ムガル帝国時代(16~18世紀)珍重されていました。
産業革命当時は、金銀糸使いきらびやかな薄地綿織物としてヨーロッパに輸出され大人気でした。
しかし、イギリスが自国の綿工業を保護するため、様々な方法でダッカの綿工業を激しく抑圧。ダッカの優れた職人の技術は消滅し、ダカイ・モスリンは衰退してしまったのです。
原料となる独自のプティ・カルパス綿の行方や織り方の伝承も途絶えていたためモスリンは絶滅したと思われていました。
しかし2014年にモスリン復活プロジェクトが始まったことにより、2020年には昔と同じモスリンの材料となる特別な綿とほぼ同じ遺伝子の綿が見つかったのです。
そして、わずかに残っていた高齢で熟練の職人によりモスリンが170年ぶりに再び蘇ったのでした。
復活したモスリン生地を今は若い人たちがその技術を引き継ぎ、文化遺産の修復から将来的には産業として雇用創出を目指しているそうです。
モスリンは単なるファブリックではなく、国のアイデンティティや誇りも織り込まれている特別なもの。
布一枚にも深い物語が隠されているんですね。

余談ですが、三蔵法師のモデルとなった中国の僧・玄奘(げんじょう)は、インドに向かう道中でモスリンと出会い、「この布は夜明けのかすかな霧のようだ」と旅行記に書き残しています。三蔵法師も驚くぐらい当時としては画期的な薄さの珍しい織物だったのですね。
ちなみに、昔の王様や女王様が着ていたという貴重なモスリン、かのマリーアントワネットもお気に入りだっとか。
熟練工の手による究極のモスリン布地は7枚重ねても肌が見えるくらい極薄だそうです。なのでそんなモスリンでできたサリーは、1着丸ごとがマッチ箱に収まるんだとか。すごいですね!
【パビリオン情報】
内部の船のような三角のフレームはスタッフの話では「両手を合わせた形」のイメージとのこと。バングラディッシュの日常やお祭りを再現したミニチュアが精工で楽しいです♪

まとめ
まだまだ紹介したいのですがコラムの字数制限を超えてしまったようなので、前半はこの辺で。
後半は近日公開予定です。
当びっくりカーテンや姉妹店のラグモアでは、世界中から様々な商品を直輸入しています。
実際にスタッフが現地に赴き探し出したものをはじめ、インスパイアされたイメージをデザインに取り込んだオリジナルのカーテンなどなど、沢山の商品をご用意しています。
日常に新しいエッセンスを採り入れてみませんか?
気になる商品や興味のある国のインテリアコーデについて、ご相談はお気軽に。
あまんだ・ら・かまんだら でした。
■EXPO 2025 大阪・関西万博で見つけた世界のファブリック <TBLブログ3部作>